2.今どき珍しいリクライニング不可!な2種類の座席
座席定員の確保を第一として生まれたE4系では、特に旅客が集中すると想定された1~3号車の2階自由席は、座席配置が一般的な3-2列ではなく、3-3列の配置となりました。この2階自由席用の座席は、新幹線では珍しい、非リクライニングシートとなっています。
詰め込み設計とも取れるこの座席ですが、背もたれはある程度の傾きがあるため、意外と座り心地は快適。定員第一ではありますが、それでも旅客の快適性に配慮した設計が垣間見えます。
なお、先代のオール2階建て車両であるE1系でも、この3-3列配置の座席は採用されていました。E1系では、ラッシュ時以外ではさらに快適に使えるよう、中央席(B・E席)の背もたれに収納式のアームレストを設置するという仕掛けがありました。このギミックは、残念ながらE1系のリニューアル時に消滅。現在鉄道博物館に保存されているE1系では、E4系と同様の座席を搭載しています。
また、E4系ではもう一つ、リクライニング不可の座席を設置しています。それが、デッキ部の折り畳み式補助いす。まるで京阪神の新快速電車のような装備ですが、ラッシュ時に多くの通勤客を輸送し、かつ駅間距離が長い新幹線であれば、客室内で空席を見つけられなくとも、デッキ部でとりあえず着席が可能です。
この補助いすは、自由席車両となる1~3号車のデッキ部に設置。1編成817人の定員にはカウントされていない、員数外の座席となっています。
ちなみに、新幹線のデッキ部補助いすはE4系が最後の装備車両ですが、特急用車両では他にも装備した車両があります。JR東日本では、「成田エクスプレス」用のE259系に設置。全席指定制列車である同列車において、満席となった場合に座席指定なしで発売する「立席特急券」の利用者向けに装備したものです。