在来線最速も表定速度は高くない?
在来線の表定速度も見ていきましょう。
新幹線以外で最も表定速度が高い列車は、北陸本線の特急「サンダーバード」です。最速となる「サンダーバード」37号は、大阪~金沢間267.6キロを2時間31分で結び、表定速度は時速106キロに達します。2022年現在、表定速度が時速100キロを超える在来線特急は、この「サンダーバード」のみとなっています。
特急列車が多数運転されている路線は「特急街道」とも呼ばれますが、北陸本線はその一つ。北陸新幹線の延伸開業が迫る中ではありますが、表定速度1位となった「サンダーバード」のほか、北陸地方と名古屋方面を結ぶ「しらさぎ」や、北陸エリア内の需要を担う「ダイナスター」などが多数行き交います。高速列車が多数運転される路線のため、運転速度も上がり、結果的に表定速度も向上しています。
2位以降を見てみると、特急「ソニック」、「ライラック」・「カムイ」、「しらさぎ」、「あずさ」、「ひたち」などがランクイン。いずれも、北陸本線のように特急列車が多数行き交う路線の列車となっています。
上位10列車のうち、私鉄で唯一ランクインしたのが、近畿日本鉄道(近鉄)の名阪特急「ひのとり」。一部では最高時速130キロで運転するこの列車。日中時間帯の最速列車では所要時間は2時間5分で、表定速度は時速91キロです。
時速160キロで走る「スカイライナー」は、表定速度は時速89キロ。最高速度こそ高い列車ですが、京成上野~京成高砂間などで速度が抑えられるため、表定速度は低い部類となっています。また、日暮里~成田空港(空港第2ビル駅)間36分が売りの同列車ですが、2021年のダイヤ改正で青砥駅に停車する列車が増加しており、これらの列車ではさらに表定速度が低くなっています。
なお、かつて国内最速の在来線特急だった「はくたか」は、2014年3月改正時点で、越後湯沢~金沢間の261.4キロを最速2時間33分で結んでいました。この最速列車の表定速度は時速103キロ。現在の「サンダーバード」37号には及びませんが、それでもかなりの高速列車でした。なお、越後湯沢~直江津間のみを抽出すると、「はくたか」2号が45分で走行しており、この区間の表定速度は時速112キロでした。
2022年3月のダイヤ改正では、「サンダーバード」37号が定期列車として復活しました。2020年3月改正までは国内最速列車だった37号ですが、2021年3月改正で臨時列車化され、定期列車のみを対象とした本ランキングでは算定外に。今回の復活で、「サンダーバード」9号から国内最速の座を奪還しました、
一方、2021年度に5位タイだった「あずさ」18号は停車駅が増加。松本~新宿間で茅野、甲府、八王子の3駅のみに停車していたのが、新たに塩尻駅や小淵沢駅なども停車駅に追加されてしまいました。「あずさ」自体は10位以内に残っているものの、最速列車の座は37号に譲っています。また、8位タイだった「北斗」2号は所要時間が増加し、順位を落としてしまいました。
また、2021年度までは特急列車以外で最も表定速度が高い列車として、北越急行ほくほく線の超快速「スノーラビット」3832Mがありました。途中停車駅を十日町駅の1駅に絞り、表定速度は時速88キロにも達していましたが、残念ながら2022年3月のダイヤ改正で、その最速達列車は廃止されています。