9月23日、いよいよ西九州新幹線が武雄温泉~長崎間で開業します。この路線を走る車両は、東海道・山陽新幹線でも使われているN700S。JR東海が開発した形式で、これをJR九州がカスタマイズし投入します。
オリジナル形式で独自性が発揮された九州新幹線(博多~鹿児島中央間)の800系とは異なり、既存形式のN700Sが採用された「かもめ」。元になった東海道・山陽新幹線用N700Sの面影も見られますが、同じく九州新幹線用のN700系のように控えめなデザインではなく、同社のデザインを多く手掛ける水戸岡鋭治さんらしさが爆発した車両です。
形は似ているけれど、デザインは異なる、西九州新幹線と東海道新幹線のN700S。両車を比較してみました。
西九州新幹線を走る白と赤の新幹線「かもめ」
西九州新幹線「かもめ」用のN700Sは6両編成。東海道新幹線のN700Sと比べると、非常にコンパクトです。番台区分は8000番台。編成記号は「Y」とされ、それぞれY1~Y4の編成番号が付与されています。
デザインコンセプトは「九州らしいオンリーワンの車両」で、水戸岡鋭治さんらしさが発揮されたもの。外観は、白を基調とした車体に、JR九州のコーポレートカラーである赤を配色。「かもめ」「KAMOME」といったシンボルマークなどのロゴを配置。先頭部の運転席窓や前照灯周りは黒で塗装されています。白地に青帯、床下はグレーというシンプルな東海道新幹線の車両と異なり、JR九州の独自性が多く見られます。
車体の側面に配される毛筆体の「かもめ」のロゴは、車両デザインが発表された2021年7月当時のJR九州代表取締役社長であった青柳俊彦さん(2022年9月現在は同社代表取締役会長)によるもの。横書きの大きなものと、乗降用ドア横に配する縦書きの小さなものの2種類が用意されています。同社社長による揮毫の列車名ロゴは、2004年の九州新幹線新八代~鹿児島中央間開業時にも800系に「つばめ」とデザインされたものがありましたが、2011年の博多~鹿児島中央間全線開業以降は800系が「つばめ」以外にも使用されることになるため、開業にあわせて撤去されていました。
余談ですが、一部のプレスリリースやウェブサイトなどでは、形式名が表記ゆれで「N700S系」と記載されていることがあります。しかし、JR東海では公式には「N700S」と呼称。JR九州の広報担当者も、JR東海同様に「系」を付けない「N700S」が正しい、としています。