試験車両ではさらに速い記録も!
営業列車ではなく、試験車両などを含めた最高速度記録では、時速603キロというものがあります。これは、JR東海の超電導リニア、L0系が2015年に記録したもの。国内のみならず、世界の鉄道最高速度記録でもあります。現在、工事に関して問題が続いているリニア中央新幹線ですが、営業運転時の最高速度は時速500キロとなる予定。先の速度記録よりは控え目ですが、それでも地上を走る公共交通機関としては国内最速となる見込みです。
レールの上を走る鉄道車両の国内記録は、1995年に「300X」ことJR東海の955形が記録した、時速443キロというもの。300Xは、300系以降の車両開発のためにJR東海が開発した試験車両で、今に至るまで同社が導入した唯一の試験専用形式(検測車ではない実験フィールド車両として)となっています。
また、現在は特急「やくも」で活躍し、2024年6月には定期運転を終了する予定の381系も、速度記録の保持形式です。1985年に湖西線で実施された速度試験で、381系は時速179.5キロという速度を記録。国内の狭軌車両としては現在でも最速の記録となっています。なお、この記録は世界の狭軌鉄道での最速記録とされることもありますが、南アフリカ共和国の狭軌鉄道で、381系より上の速度記録を達成したという情報もあるようです。
SLにおいては、1954年にC62形27号機が記録した、時速129キロというものが国内最速。もともと速度を達成するための試験ではなく、橋の強度テストの一環で速度を向上した結果だったといいます。このC62形17号機と、先の300Xは、ともにJR東海の「リニア・鉄道館」に保存されており、当時国内最速記録だった時速581キロをマークした超電導リニア「MLX01-1」とともに、「高速鉄道技術の進歩」のシンボルとして展示されています。
余談ですが、他の乗り物の最高速度を見ていくと、自動車では新東名高速道路や東北自動車道などの制限時速120キロが最速。制限速度ではなく車両のスペックで見ると、レクサス「LFA」、日産「GT-R」などが時速300キロ超のパフォーマンスを持っています。
飛行機では、周囲の空気の流れと比較した「対空速度」、地表と比較した「対地速度」と、複数の速度指標がありますが、対地速度で見ると、条件によっては旅客機でも巡航中は時速1000キロに達することもあるようです。船では、大型フェリーでは時速30~50キロ程度が一般的。ただし、それ以上の速度を出せる高速船も存在し、たとえばボーイングや川崎重工業が製造した「ジェットフォイル」は、最高時速80キロ超の性能を有しています。