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ドクターイエロー2編成が揃い踏み! 2024年「JR東海 浜松工場へGO」に密着

2024年11月23日(祝) フォトライター 栗原景

引退が迫るドクターイエロー2編成に会えるツアーイベント

10月19日と20日、「見ると幸せになれる新幹線」こと923形「ドクターイエロー」2編成がJR東海浜松工場に集結。2025年1月に引退予定のT4編成と、2027年頃までに引退を予定しているT5編成が顔を合わせる、貴重な公開イベントが行われました。

2本のドクターイエローが1本のレール上で対面!
2本のドクターイエローが1本のレール上で対面!

これは、JR東海とJR東海ツアーズ主催によるツアーイベント「JR東海 浜松工場へGO」として企画されたもので、2日間で首都圏や静岡、名古屋、大阪などから約4000人が参加。ドクターイエローとの出会いを楽しみました。

JR東海の浜松工場は、東海道新幹線電車の検査・修繕を行う施設で、車両を定期的に部品レベルまで分解し、精密に検査・修繕する「全般検査」などを行っています。以前は、毎年秋の週末に誰でも自由に参加できる工場公開イベント「新幹線なるほど発見デー」が開催され、2019年には2日間で2万6700人が来場しました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、密集を防止する観点からイベントの開催が難しくなると、2021年に人数を限定した有料ツアー「新幹線なるほど発見ツアー」を実施。2022年には「JR東海 浜松工場へGO」とタイトルを変え、翌2023年には「新幹線なるほど発見デー」の終了も発表されました。JR東海は、「限られた人数でゆっくり、じっくりと浜松工場を楽しんでいただきたいため、開放型のイベントに比べ、ツアーで参加いただける形式が最適と判断しました」(東京広報室)と説明しています。

「JR東海 浜松工場へGO」の目玉のひとつが、各出発地から直接浜松工場へ入場する、N700Sによる団体専用列車の運行です。ツアーは午前の部と午後の部に分かれ、午前は東京始発の列車が品川・新横浜・浜松に停車して浜松工場へ。一方、午後には新大阪始発の列車が京都・名古屋と停車、豊橋駅で三島・静岡・掛川からの参加者も乗せて浜松工場へ向かいます。浜松工場ではそれぞれ約120分間の見学時間が設けられ、同じ編成に乗って帰途につきました。

他では体験できない「新幹線のスイッチバック&踏切通過」

10月19日、東京発のツアーの様子を見てみましょう。団体専用列車の東京駅発車時刻は6時54分。これは東京発新大阪行き「のぞみ」291号の発車時刻と同じで、品川駅7時01分発、新横浜駅7時12分発の時刻も「のぞみ」291号を踏襲しています。列車はN700SのJ12編成。2021年に製造された編成で、J13編成以降は車椅子スペースを拡大して、定員が減少したため、初代「のぞみ」300系以来の「1323席」を備えて製造された最後の編成です。

東京駅に停車中の団体臨時列車。N700S J12編成が使用されました
東京駅に停車中の団体臨時列車。N700S J12編成が使用されました
発車時刻は6時54分。「のぞみ」291号と同じ時刻です
発車時刻は6時54分。「のぞみ」291号と同じ時刻です

「この列車は団体専用列車、“浜松工場行き”です」

新横浜駅を発車し、車内チャイムの「会いにいこう」に続いて車掌が車内放送を始めました。“浜松工場行き”と放送されるのは、このツアーの列車だけ。何人かの参加者がスマホで車内放送を録音していました。普段の「のぞみ」291号は、新横浜を発車すると名古屋までノンストップですが、今回の団体専用列車は浜松に停車します。通常、浜松停車の「ひかり」は必ず静岡にも停車するので、新横浜〜浜松間ノンストップの列車もかなり貴重です。

車内はほぼ満席。参加者は、乗車駅ごとに車両が割り当てられており、14・15号車は新横浜駅からの参加者でした。

新幹線のイベントということで、親子連れとレールファンが中心と思いきや、年配のご夫婦や女性グループ、カップルなど実に多彩です。お話を聞いていくと、ほぼすべての方がドクターイエローを目的のひとつにしていて、ドクターイエローの人気の高さがわかります。

親子連れやレールファンだけではなく、年配のご夫婦や女性グループ、カップルなど、多彩な方々が参加していました
親子連れやレールファンだけではなく、年配のご夫婦や女性グループ、カップルなど、多彩な方々が参加していました
横浜から参加した志村知子さん(左)と夢来(むく/右)さん親子。特に知子さんが大の新幹線ファンで、「0系の頃から大好きです」。夢来さんも今日はドクターイエロー色でコーディネート
横浜から参加した志村知子さん(左)と夢来(むく/右)さん親子。特に知子さんが大の新幹線ファンで、「0系の頃から大好きです」。夢来さんも今日はドクターイエロー色でコーディネート
高校時代からの友人同士で参加した齋藤慶太さん(右)と仲宗根陽太さん(左)。別々の大学に進んだ今も一緒に鉄道を楽しんでいるそうです。「ドクターイエローをじっくり見るのは始めてなので楽しみ」(齋藤さん)「車両を運搬するトラバーサーが動くところを見たいです」(仲宗根さん)
高校時代からの友人同士で参加した齋藤慶太さん(右)と仲宗根陽太さん(左)。別々の大学に進んだ今も一緒に鉄道を楽しんでいるそうです。「ドクターイエローをじっくり見るのは始めてなので楽しみ」(齋藤さん)「車両を運搬するトラバーサーが動くところを見たいです」(仲宗根さん)

今回のツアーは、東京や新大阪など、10か所の出発地が設定されましたが、いちばん早く売り切れたのは浜松発でした。販売開始から10分ほどで売り切れてしまったそうです。これは浜松発着分の解散が13時と早く周辺観光を組み込みやすかったことと、浜松市では浜松工場の認知度が高く、以前の「なるほど発見デー」が地域のイベントと認識されていたためと思われます。

8時07分、浜松駅に到着。約6分停車して浜松からの参加者を乗せ、「のぞみ」107号を先行させると同13分に発車します。時速130キロまで加速したところで右手に浜松工場が現れ、工場への分岐線に入って停止。約25分待機して、乗務員が場内用の運転士に交代します。8時44分、列車はこれまでとは反対方向に動き出し、時速約20キロのゆっくりとした速度で工場線に入りました。普段は体験できないフル規格の新幹線による「スイッチバック」です。

浜松駅付近の配線図と、団体臨時列車の走行経路(赤色線)。普段は体験できない、フル規格の新幹線による「スイッチバック」があります(編集部作成)
浜松駅付近の配線図と、団体臨時列車の走行経路(赤色線)。普段は体験できない、フル規格の新幹線による「スイッチバック」があります(編集部作成)
浜松駅を出ると、右手に浜松工場が現れます。手前はJR貨物の貨物駅、西浜松駅です
浜松駅を出ると、右手に浜松工場が現れます。手前はJR貨物の貨物駅、西浜松駅です
工場への分岐線でいったん停止。待機する団体臨時列車の横を、定期列車が行き交います
工場への分岐線でいったん停止。待機する団体臨時列車の横を、定期列車が行き交います

まもなく、工場手前でフル規格新幹線唯一となる「西伊場第一踏切」を通過。踏切の両側には、「乗客を乗せたN700Sが踏切を通過する風景」を撮ろうと、大勢の人が集まっています。そして工場の場内に入ると、今度は工場のスタッフが大勢手を振って迎えてくれました。列車は、そのまま検修庫3番線に入場。下車の準備が整うと、スタッフの誘導によって号車ごとに下車し、通路を通って工場の外に出ました。検修庫の向こうには、すでにドクターイエローが待っています。

スイッチバックした先では、西伊場第一踏切を通過。ともにフル規格新幹線では唯一の存在です
スイッチバックした先では、西伊場第一踏切を通過。ともにフル規格新幹線では唯一の存在です
工場に入ると、スタッフが手を振って迎えてくれました
工場に入ると、スタッフが手を振って迎えてくれました
 

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