形式を変更してもまだまだ活躍
昔からラッシュ時の混雑が激しいことで知られる東急田園都市線。この路線の輸送力増強策の一環として、東京急行電鉄(当時)は1992年に2000系を製造し投入しました。
2000系のデザインは、当時東横線で活躍していた9000系と共通です。ただし、内装については「人にやさしい電車」をコンセプトとし、握り棒の増設や新デザインの貫通扉の採用など、9000系以上の客室内空間を目指した車両となりました。
田園都市線では8500系以来、約15年ぶりの自社新型車両となった2000系ですが、製造数は10両編成3本の30両のみとなりました。2003年に、田園都市線が地下鉄半蔵門線を介して東武伊勢崎線との相互直通運転を始めた際には、編成数が少ない車両に対する東武鉄道社員への事前教育の手間を嫌い、2000系は8590系や8500系の一部と共に、押上駅までで折り返す列車に限定されて運用されるようになりました。
そんな2000系ですが、2018年に転機が訪れます。東急では田園都市線へ新型車両の2020系を導入し、旧型車両を置き換えるとしていましたが、東武線へ直通できないために運用範囲が限られる2000系と8590系も、2020系による置き換え対象となりました。
8590系は機器設計が古いために全車が廃車となりましたが(後に一部が富山地方鉄道に譲渡)、2000系は編成を5両に短縮の上、大井町線へ転属する措置が取られました。2018年中に、機器更新を受けていた1本が5両編成に短縮され、大井町線へと転属して運用を開始しました。
翌2019年には、残る2本の2000系も大井町線へと転属します。この際、2000系は形式を9020系へと改番。同じ大井町線で活躍する9000系の派生車両のような番号となりました。2018年に先行して転用されていた1本も2019年2月に9020系へと改番されており、現在は9020系5両編成3本の陣容となっています。