最新形式なのに増備無し? 今後が気になる新交通システム
東京都交通局が運営する日暮里・舎人ライナーでは、2017年に5両編成1本のみが製造された320形が活躍しています。
320形は、初代車両の300形と同様、新潟トランシスが製造した車両です。
かつては陸の孤島とも呼ばれていたエリアを走る日暮里・舎人ライナーは、開業後は年々利用客が増加していました。この路線のような新交通システムでは、安全性を保つために重量制限を設定していますが、日暮里・舎人ライナーではこの制限を突破する可能性があるほど、多くの利用者が集中している状態となっています。そのため、初代車両の300形では、当初は車内にあえてクロスシートを設置し、乗車できるスペースを減らすことで、わざわざ定員を減らしていました。
車両を増結せずに1編成あたりの定員を増やすためには、車両の重量を減らす必要があります。そのため、日暮里・舎人ライナーに導入された新型車両では、300形よりも軽量化を図った設計となっています。
前面は300形と同様の流線形ですが、300形以上にスタイリッシュなデザインに。また、300形よりも軽量化を図ることで、設備による重量制限との余裕を確保。混雑時にも300形以上に多くの旅客が乗車できるようになっています。
日暮里・舎人ライナーでは、320形の導入以前にも、新造車として三菱重工業製の330形が導入されていました。東京都交通局のような公営交通事業者では、ある特定のメーカーを指定して車両を発注することは不公平となるため、車両製造メーカーは原則として入札で決定することとなります。このため、2015年度導入車両は三菱重工業が落札した一方で、2017年度導入車両は新潟トランシスが落札したことにより、同じ路線にも関わらず多数の形式が導入されることとなったのでした。
かつては320形とともに1本のみの在籍だった330形ですが、こちらは2019年度に2本が導入され、現在は3本15両の陣容に。また、2022年度以降に導入される車両についても、2020年1月に三菱重工業が落札しています。そのため、320形の増備は、今後しばらくは見込めないようです。