国鉄色は1両のみ ブルートレインも牽引したEF66形
旅客用の車両と異なり、機関車は長い期間運用される傾向があります。私鉄車両を例に挙げると、秩父鉄道や三岐鉄道では、1950年代に製造された車両が、2021年現在も貨物列車で活躍中。弘南鉄道では、定期運用こそ持たないものの、戦前製の機関車が今もなお車籍を有しています。
このように長期間現役を続ける傾向は、JRの機関車でも同様。機関車が牽引する定期旅客列車が全廃となった今、JR旅客各社では定期運用を持つ機関車はありませんが、JR貨物においては、今もなお国鉄時代に製造された古参車両が貨物列車をけん引しています。
1号機の製造から50年以上が経過する車両としては、EF81形やDE10形、ED76形などがありますが、現在特に鉄道ファンから注目を集めているのは、直流電気機関車のEF66形です。
EF66形は、1966年に試作機となるEF90形1号機(後にEF66形901号機へ改番)が落成し、量産型のEF66形1号機は1968年に製造された車両。量産車登場から53年間活躍が続いています。登場時は貨物列車のみをけん引していましたが、1985年から2009年までは、「はやぶさ」「さくら」「富士」「あさかぜ」など、東海道・山陽本線系統の寝台特急列車けん引も担当していました。
現在も車籍を有しているEF66形は、JR貨物吹田機関区に所属する33両(2021年1月現在)。そのほとんどは、国鉄分割民営化後に製造された、比較的若い100番台です。しかしながら、「ほとんど」の例外となる1両が、現在も活躍を続けています。ファンからは「ニーナ」の愛称でも呼ばれる27号機です。
1973年に製造された27号機は、現在も唯一残存する0番台。また、1990年代より0番台の塗装がいわゆる「貨物更新色」に変更される中で、27号機は唯一国鉄時代に近い塗装を維持し続けました。製造時とは厳密には異なりますが、かつて24系客車や10000系貨車をけん引した頃の面影を残す27号機は、運用に入るとファンが詰めかける大人気の車両となっています。
そんな27号機ですが、まもなく引退との噂もささやかれます。27号機が最後に全般検査を受けたのは、2015年のこと。それから6年が経過し、そろそろ次回の検査期限が見えてくるころです。しかし、JR貨物ではEF210形300番台の増備を進めており、27号機より若い100番台にも廃車が発生しています。今もなおファンを魅了する27号機、しかしその活躍は長くはないのかもしれません。