鉄道大国、日本。国鉄時代には全国くまなく鉄路が張り巡らされ、旅客輸送では鉄道がほとんどの輸送を担い、貨物でも水運と需要を二分していました。
そんな日本では、以前より鉄道の技術性能向上に注力してきました。特に速度向上に関しては戦前より試みられており、1930年に運転を開始した超特急「燕」では、それ以前の列車よりも東京~神戸間の所要時間を約2時間短縮しています。また、1964年に開業した新幹線では、世界で初めて時速200キロ超での営業運転を実現。さらに1997年には世界最速タイの時速300キロに到達しています。
戦前からスピード向上に積極的だった日本。現在でも新幹線や在来線で、さまざまな高速列車が運転されています。そんな日本における、2021年の速度ランキングをご紹介します。
新幹線で最速なのはあの列車
列車の速さの指標として、誰もが一目見てわかるものといえば、列車の最高運転速度です。日本において営業最高速度が最も速いのは新幹線。その中でも、東北・秋田新幹線の「はやぶさ」「こまち」が、日本一である時速320キロで運転されています。
1964年の東海道新幹線開業で、鉄道が時速200キロを超えて走る時代の幕を開けた日本。後にフランスやドイツなども高速鉄道の開発に着手して日本のスピードを追い越し、現在は営業最高速度世界一の座を中国に譲っています。それでも、「はやぶさ」「こまち」の時速320キロは、フランスの「TGV」やドイツの「ICE」、イギリスの「ユーロスター」と並び、世界2位の記録となっています。
なお、「はやぶさ」「こまち」が時速320キロで走ることができるのは、東北新幹線の宇都宮~盛岡間のみとなります。残る東京~宇都宮間、盛岡~新青森~新函館北斗間は、騒音対策や区間最高速度の制限によって、いずれも速度が抑えられています。
ちなみに、非営業列車の記録では、2015年4月21日にJR東海の山梨リニア実験線でL0系が達成した時速603キロが、国内・世界ともに最速です。試験における速度記録は、そのまま営業列車でも可能ということではありませんが、それでも超電導リニアの実用化路線となるリニア中央新幹線では、時速500キロ程度で営業運転する予定。中央新幹線の開業後は、浮上式の路線ではありますが、こちらが国内最速の鉄道となります。
また、鉄輪式の記録に限ると、非営業列車での世界最高速度記録は、フランスのTGVが達成した時速574.8キロというもの。日本国内の記録では、JR東海の955形「300X」が達成した、時速443キロが最高となっています。