惜しまれつつも引退した車両たち
新車がデビューする裏で、引退した車両も多く見られました。
JR東日本では、「Max」の愛称をもつE4系新幹線が、10月に引退しました。1985年デビューの100系以来続いてきた2階建て新幹線ですが、新幹線最後の売店などの要素とともに、歴史に終止符を打ちました。
3月のダイヤ改正においては、首都圏エリアでは、特急「踊り子」や「湘南ライナー」などで使用されてきた185系が、定期運用を終了。「湘南ライナー」の廃止とともに、2階建て車両の215系も引退しました。東北エリアでは、男鹿線と五能線のキハ40系が運用を終了。485系改造の「ジパング」も10月に引退しています。
JR西日本では、3月のダイヤ改正における七尾線の521系統一によって、415系800番台と413系が運転を終了。北陸エリアのJR線から、国鉄時代の電車車両が消滅しています。同じ3月改正では、紀勢本線に227系が導入され、同線を走る105系が引退しました。
JR四国では、特急「南風」「しまんと」から2000系が撤退。「宇和海」「あしずり」に残るのみとなり、本州への乗り入れ運用が消滅しました。またJR九州では、佐世保線、大村線、長崎本線などを走るキハ66・67形が、2021年6月に運用を終えてしています。
JR貨物では、愛知機関区に残っていたDD51形ディーゼル機関車が、DF200形に置き換えられました。2021年12月現在、DD51形は、JR東日本の2両、JR西日本の8両の、計10両が残るのみとなっています。
私鉄に目を向けると、名古屋鉄道の特急に使用されていた1700系、「スナックカー」として親しまれた近畿日本鉄道の特急車12200系、日本初の5扉車で、座席の昇降機能など独自の機能を持っていた京阪電気鉄道5000系が、それぞれ引退しました。
また、11月には高松琴平電気鉄道(ことでん)の1000形120号・3000形300号が営業運転を終了しました。この2両を含む同社のレトロ電車は、2021年のゴールデンウィークまでに順次引退することが2019年に発表されていましたが、コロナ禍で引退時期が延期されていました。
路面電車では、札幌市交通局の「親子電車」M101号車が、60年の歴史に幕を下ろしました。今後、2022年秋に予定されている札幌市交通資料館のリニューアルオープン時に、かつての相方だったTc1形とともに展示される予定です。
一方、JRで引退した車両が、私鉄で新たな活躍を始めた例もありました。
小湊鉄道では、只見線で使われていたキハ40系2両が、2021年4月に運転を開始。同年7月には、秋田エリアで使われていた3両も同社に譲渡されています。
えちごトキめき鉄道では、413系3両編成と、455系1両の計4両をJR西日本から購入。国鉄急行色に塗装変更のうえ、7月から「観光急行」を中心に運転されています。