廃止が相次いだ各地の列車
毎年大きな動きがある春のダイヤ改正では、2021年も列車の新設と廃止がありました。3月13日のダイヤ改正で大きく変化したのは、通勤用の優等列車。JR東日本の東海道線では、最後まで残ったホームライナー「湘南ライナー」が廃止されました。使用車両も、廃止時点では215系と185系、かつては251系やE351系などと多様でしたが、新設された特急「湘南」に役目を交代し、車両はリニューアル工事を受けたばかりのE257系に統一されました。
信越エリアでも、通勤用快速「おはよう信越」「らくらくトレイン信越」が廃止され、新設の快速「信越」に置き換わりました。使用車両に変化はありませんが、乗車に必要な券が従来の「乗車整理券」から「指定席券」に変わりました。また、白新線・羽越本線で運行されていた、「らくらくトレイン村上」も姿を消しました。こちらは代替の列車の運行はなく、完全な消滅となります。
JR九州の鹿児島本線でも、大牟田~博多間で平日朝に運転されていた特急「有明」が廃止されました。かつては博多と鹿児島を結ぶ特急列車でしたが、1992年に在来線特急「つばめ」が登場してからは博多~熊本間が主体の列車に。さらに2011年の九州新幹線博多~鹿児島中央間全線開業で通勤ライナー的な性格の列車となり、2018年以降は上り1本のみの運転となっていました。
地方の快速列車も廃止が相次ぎました。東北エリアでは、東北本線の福島~仙台間における運行形態を白石駅で分離するのにあわせ、快速「仙台シティラビット」が廃止。九州エリアでは、肥薩おれんじ鉄道が土休日に運転していた八代~出水間の快速「スーパーおれんじ」、出水~川内間の快速「オーシャンライナーさつま」が、利用者減少のために廃止されています。
春のダイヤ改正以外でも動きが。近畿エリアでは、「SL北びわこ号」が運転終了となりました。北陸本線の米原~木ノ本間で運転されていたSL列車ですが、2020年春以降は新型コロナウィルス感染拡大の影響で運転を休止。機関車が蒸気を吐き出すために客車の換気が困難なこと、使用する客車の老朽化が進み、保守部品の入手が困難なことから、復活することなく廃止となりました。
ダイヤ改正にあわせたものではありませんでしたが、2021年1月以降の繁忙期には、青函トンネルでの時速210キロ運転が実施されました。もともと新幹線の走行を想定していた青函トンネルですが、線路を共用する貨物列車へ与える影響を考慮して、速度が抑えられていました。貨物列車を削減できるシーズンに限られたものとなりますが、青函トンネルでは始めて時速200キロ超の高速運転が実現しました。