イベントが増えた?コロナ禍での鉄道
2020年から社会に大きな影響を与えている新型コロナウィルスですが、鉄道業界においては、行動様式の変化による影響を大きく受けており、政府からの要請を受けた移動抑制策も含め、様々な対策が取られました。
ダイヤでは、最終列車の繰り上げなど、深夜帯を中心として列車の減便が目立っています。もともと一部の事業者では、2021年春以降のダイヤ改正で、列車を減便する予定でした。しかし、2021年1月の緊急事態宣言の発令や、これにともなう政府・自治体からの要請を受け、1月下旬に予定を繰り上げてダイヤ改正と同等の内容を実施する事業者も現れました。
また、大晦日から元日にかけて実施する終夜運転では、例年通り実施する事業者や、終電繰り下げのみの対応とする事業者、今年度は実施しない事業者など、判断がわかれています。
乗車券類にも変化が。ICカードの普及や経営環境の変化などを理由として、JR九州、西日本鉄道、京阪電気鉄道、東武鉄道などでは、回数券が廃止されました。一方、JR四国では、5回分の料金で6枚つづりの「6枚回数券」という、割引率の高い回数券を新たに設定しています。また、JR西日本では、指定エリアの特急列車や新幹線も含めて乗り放題の「どこでもきっぷ」を発売するなど、鉄道の利用促進を狙う企画乗車券も出てきています。
一方、新型コロナウィルス発生から1年が経過した2021年には、次第に社会も「ウィズコロナ」として適応する動きが見られました。鉄道業界においても、ウィズコロナを前提としたイベント開催の動きが見られます。
2020年はリアルイベントに代わりオンラインイベントが多く開催されましたが、2021年もオンラインのみのイベントが多数開催。近畿日本鉄道の「きんてつオンライン鉄道まつり2021」では、オンライン主体ながらも団体臨時列車を運転するという、ハイブリッド型の開催となりました。
車両基地見学や仕事体験などのリアルイベントも、徐々に再開される動きが見られました。特に2021年は、JR東日本が少人数・事前応募制のイベントを積極的に開催するなど、これまでになかった事業者・場所でのイベントが広まっています。
また、ウィズコロナ時代における「リモートワーク」の普及により、駅や列車内で仕事に取り組めるような環境の整備が進んでいます。東海道、東北、北陸、上越などの各新幹線では、一部車両のワークスペース化を実施。オンライン会議が可能な車両が設定されました。駅においても、待合室への半個室のビジネススペース設置といった動きが拡大しています。