1年延期となったオリンピック、鉄道業界の対策さまざま
スポーツの祭典であり、世界的なイベントである東京オリンピック・パラリンピックは、当初予定では2020年夏の開催予定でした。しかし、新型コロナウィルスの影響で開催が1年延期となり、2021年も関東の競技場では無観客開催となってしまいました。
そんなオリンピックですが、本来であれば国内外から多くの観戦客が訪れるはずでした。そのため、結果的に日の目を見ることはなかったものの、鉄道を始めとする輸送事業者各社では、開催期間中の輸送対策を進めてきました。
JR東日本や関東の私鉄各社では、開催期間中の深夜に臨時列車を運転することを検討。深夜2時ごろまで列車が運転される予定でした。JR東日本ではほかにも、鹿島サッカースタジアムアクセス用の臨時列車「カシマスタジアム号」や、仙台駅を0時過ぎに発車し、東京駅に4時ごろに到着する「夜行新幹線」の運転なども予定していました。
一方で、駅や車内などの対策は大会開催を前に導入されたものも。JR東日本・東海、東京メトロなどでは、駅構内や車内の警備強化として、警備員の増員や、画像認識防犯カメラの導入といった施策を発表。おりしも鉄道施設内での事件が相次ぐ中で、防犯対策の強化が図られました。
また、2020年の話題ではありますが、同年3月に開業した山手線の高輪ゲートウェイ駅や、同年6月に暫定開業した日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅は、東京オリンピック開催に間に合うよう建設が進められていました。このほか、原宿駅や千駄ヶ谷駅のホーム増設、有楽町駅や新木場駅の改良といった工事も。
結果としてオリンピック輸送には活用されなかったこれらのインフラですが、再開発エリアのまちづくりや、競技場や明治神宮などの周辺施設による混雑対策として、今後も使われていくこととなります。