新型車両の登場や、旧型車両の引退、加えて近年相次ぐ災害による運休および復活と、2021年も鉄道に関する様々な話題がありました。
また、2020年から猛威をふるい続ける新型コロナウィルスによって、終電の繰り上げやイベント開催の見直しといったマイナス面、働き方の変化によるテレワーク設備の整備といったプラス面の変化も見られました。
新型コロナウィルスによって、2020年に引き続き世界が動かされた2021年。鉄道業界も大小さまざまな影響を受けた1年間を振り返ります。
2021年も登場、全国各地の新型車両
新型特急車両の登場という、華々しい話題はなかった2021年ですが、一般型車両や事業用車両を始め、さまざまな新型車両がデビューしています。
JR東日本では、ワンマン運転に対応したE131系を導入。3月には房総エリアで運転を開始し、11月には相模線へも投入。さらに2022年春ごろには、宇都宮エリアへの導入も予定されています。
また、事業用機関車や砕石輸送用貨車の代替として、GV-E197系とE493系が導入されました。GV-E197系は電気式気動車、E493系は交直流電車で、ともに一般の営業用車両と機器構成をそろえることで、車両のメンテナンスや運転面の効率化を図るとしています。
JR西日本では、同社初の電気式気動車として、試験車両のDEC700を導入しました。バッテリーの追設によってハイブリッド方式とすることも可能な仕組みで、2022年からは同方式での試験も始まります。
さらに、DEC700のシステムを採用した総合検測車として、DEC741が登場しました。443系から引き継いだ架線検測のほか、「線路設備診断システム」や、AIを活用して自動診断する「電気設備診断システム」も、今後搭載される予定です。
JR北海道では、新型のラッセル車として、キヤ291形を導入。GPSを活用した車両操作支援装置や、除雪装置の状態監視カメラ、車両状態のモニタリング装置を搭載しています。
私鉄に目を向けると、東京メトロでは有楽町・副都心線用の17000系、半蔵門線用の18000系が、それぞれ運転を開始しました。これにより、各線に残る7000系、8000系の置き換えが進められています。
京浜急行電鉄では、新1000形20次車(1890番台)が登場しました。ロングシートとクロスシートの転換が可能な「L/C座席」を採用し、平日の「モーニング・ウィング号」などのほか、一般列車や貸切列車にも充当。12月には愛称が「Le Ciel(ル・シエル)」と発表されています。
京阪電気鉄道では、2017年に8000系で導入した「プレミアムカー」を、3000系にも導入しました。1月のダイヤ改正にあわせ運行を開始し、特急、快速特急「洛楽」、快速急行にてサービスが提供されています。
東武鉄道では、2016年にJR四国から購入しつつも使用されていなかった12系客車を、「展望車」として改造。「SL大樹」「SL大樹ふたら」用客車として、11月4日に運行を開始しています。車両は昭和30年代の客車をイメージしてリニューアルされ、車端部にはオープンデッキの展望室が設けられました。
阿佐海岸鉄道では、線路と道路の双方を走行可能な車両「DMV」(デュアル・モード・ビークル)を、12月25日に世界で初めて本格営業運行に投入。阿波海南~甲浦間を列車として、阿波海南文化村~阿波海南駅、甲浦駅~道の駅宍喰温泉をバスとして、それぞれ走行します。