鉄道コム

「約75年ぶり」「令和初」の新線開業に「名車」引退も 鉄道業界の2023年を振り返る

2023年12月16日(土) 鉄道コムスタッフ

新駅開業……ではないけれど、将来への伏線「うめきたエリア」

3月のダイヤ改正にあわせて、大阪では「うめきたエリア」が開業しました。大阪駅の北西に設置された地下駅で、2面4線のホームという設備。うめきたエリアという愛称はつけられていますが、駅としては大阪駅の一部を構成します。

うめきたエリアとあわせて開業した大阪駅「うめきた地下口」
うめきたエリアとあわせて開業した大阪駅「うめきた地下口」

大阪駅北西のこのうめきたエリア周辺は、かつては貨物駅「梅田駅」があった場所でした。大阪駅前という一等地を活用すべく、国鉄分割民営化のタイミングで再開発計画が持ち上がり、吹田操車場(現:吹田貨物ターミナル駅)などへの機能移転を経て、梅田駅は2013年に廃止。以降、地下駅建設や、地上での再開発が進められてきました。

上空から見た旧梅田(貨物)駅周辺(2023年1月撮影)
上空から見た旧梅田(貨物)駅周辺(2023年1月撮影)

この新ホームを通るのは、東海道本線の貨物支線、通称「梅田貨物線」です。貨物線という名称ではありますが、旅客列車も多く運転されており、特急「はるか」「くろしお」などがこの線路を経由しています。これまでは、大阪駅の北西を通りつつ、同駅は「素通り」だった両列車ですが、新ホームの開業によって、晴れて大阪駅が停車駅に。神戸方面から関西空港や和歌山方面へ向かう際、これまでは新大阪駅や、大阪環状線経由で天王寺駅などで乗り換える必要がありましたが、この不便さが解消されています。

うめきたエリアを発着する特急「はるか」
うめきたエリアを発着する特急「はるか」

加えて、大阪のキタとミナミを結ぶ「なにわ筋線」も、うめきたエリアが起点となる計画。なにわ筋の下を経由し、大阪駅とJR難波駅・南海の新今宮駅を結ぶこの路線では、JRの「はるか」や関空快速、南海の「ラピート」や空港急行などが運転される予定で、大阪中心部と関空のアクセス改善が期待されています。さらに阪急でも、なにわ筋線と接続する「なにわ筋連絡線」「新大阪連絡線」の整備を検討しています。直近の報道では、JR西日本の列車も阪急の新線に乗り入れ、新大阪~十三~うめきたエリア~なにわ筋線~JR難波~関空方面という列車運行を計画しているとのこと。現在はおおさか東線と特急列車のみが発着する、少々閑散とした印象があるうめきたエリアですが、将来的には大規模なジャンクションへと変貌することになります。

JR西日本はうめきたエリアについて、イノベーションの実験場「JR WEST LABO」の中心と位置付け、新たな価値創造の推進やさまざまな課題解決に取り組む場としています。JR東日本の高輪ゲートウェイ駅と同じような立ち位置となるこのエリアで、同社は顔認証改札機や「デジタル可変案内サイン」を導入。前者は実証実験としての設置ではありますが、将来的な実用化に向けた検証を、同エリア開業時に着手しています。

実証実験中の顔認証改札機
実証実験中の顔認証改札機

加えて、21番線にはフルスクリーンホームドアを設置していますが、こちらは複数の車種に対応した新型のもの。一般型車両や特急型車両で異なるドア位置に対し、ホームドアの「壁」が動くことで対応。現在うめきたエリアを発着する列車だけでなく、なにわ筋線開業時に乗り入れる他社車両への対応設備となっています。

うめきたエリアのホームドア
うめきたエリアのホームドア
 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

関連鉄道リポート

関連鉄道コらム

鉄道コムおすすめ情報

画像

登場時デザイン撮影会で

京急600形30周年にあわせた撮影会が12月に開催。600形デビュー時デザインが撮影会限定で復活。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

4000系が「機関車風」塗装に

「西武秩父線開通55周年記念車両」11日運転開始。4000系をE851形を模した塗装に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、高倍率ズーム・広角レンズ編です。

画像

京都鉄博に381系

12月12日~17日に特別展示。16日までは、一部で「スーパーくろしお」色ラッピングも実施。

画像

11月の鉄道イベント一覧

数百件の情報を掲載中。鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。