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「約75年ぶり」「令和初」の新線開業に「名車」引退も 鉄道業界の2023年を振り返る

2023年12月16日(土) 鉄道コムスタッフ

2023年も相次いだ、災害による長期不通 「レール不具合」による数か月の運休も

毎年のように襲い掛かる災害で、今年も鉄道路線の長期不通路線が発生してしまいました。

6月の豪雨では、西日本を中心に被害が発生し、山陽本線や宇部線、山陰本線などが被災。貨物列車の大動脈である山陽本線は3週間近くにわたって不通となったほか、山陰本線の長門市~小串間、美祢線の全線は、12月現在も運休状態が続いています。両線とも橋りょうの流失といった大規模な被害を受けており、今後の存廃にも触れた議論すらなされている状態です。

7月には、東北地方を中心に豪雨が襲い、在来線を中心に被害が出ました。秋田新幹線では路盤流失による不通が発生したほか、奥羽本線や北上線などでも被害が。五能線能代~深浦間の再開で不通区間が解消されたのは、翌8月のことでした。

一方で、2022年9月の豪雨で被災し、不通が続いていた日南線南郷~志布志間は、3月までに全線で再開。2022年8月から不通となっていた磐越西線喜多方~山都間、花輪線鹿角花輪~大館間も、前者は4月、後者は5月に再開しました。

そして7月には、南阿蘇鉄道の立野~中松間が、営業運転を再開しました。2016年の熊本地震で被災して以来不通が続いてきた区間で、約7年ぶりに営業列車がレールの上を走りました。

南阿蘇鉄道のMT-4000形。立野~中松間の運転再開にあわせてデビューしました
南阿蘇鉄道のMT-4000形。立野~中松間の運転再開にあわせてデビューしました

8月には、日田彦山線の添田~夜明(~日田)間で、代替バス路線「BRTひこぼしライン」の運行が始まりました。2017年の豪雨で被災し、不通となっていた日田彦山線の添田~夜明間ですが、鉄道による復旧が断念され、鉄道用地を活用する形で、BRT用の道路が整備された形です。災害復旧におけるBRTの導入は、JR東日本の大船渡線、気仙沼線に続く3例目。九州では初の導入事例となっています。

災害ではありませんが、9月には弘南鉄道の弘南線、大鰐線でレールに異常が見つかり、弘南線は1か月強、大鰐線は2か月半の間、全線または一部で運休が続きました。同社では、8月に大鰐線で脱線事故を起こしており、この際は一旦運転を再開したものの、後日の調査でふたたび不具合が発見されたため、急きょ運転を取り止めた形です。

残念ながら毎年どこかで発生している災害起因の長期不通は、これを契機とする路線の存廃を含めた議論に繋がりがちです。また、弘南鉄道の事例では、今年2回目の脱線を未然に防げた形ではありますが、レールの保守が追いついていない現状を浮き彫りにしました。特にコロナ禍以降、公共交通は利用者の減少などで苦しい経営が続いています。

 

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