車両の世代交代により、数々の新型車両が送り出されていますが、鉄道会社によっては、長い歴史を重ねるベテラン車両もまだまだ残されています。なかには、ベテラン車両に大規模なリニューアルを行い、大切に使い続けるというケースも少なくありません。見た目は若々しいけど歴史は長い、そのギャップが、ベテラン車両の魅力のひとつなのかもしれません。
今回は、関東大手私鉄で、デビューから40年を超えて「不惑の年」を迎えたもの、まもなく40年を迎える車両を集めてみました。なお、記載の内容は、2023年8月現在のものです。
通勤ラッシュ向けの4扉車 西武2000系
2000系は、1977年より製造された片側4扉の車両。当時の標準色であった黄色一色のスタイルを現在も維持しており、2022年現在、「黄色い電車」のなかでもっとも数の多い形式です。
初期の車両は、ステンレスの飾り帯と側面扉以外は黄色一色です。しかし、1988年以降の新造車はマイナーチェンジが入り、先頭部分の窓、行先表示の周辺に黒い縁取りが入るスタイルとなりました。同じ形式ではありますが、前者は「旧2000系」、後者は「新2000系」と区別されています。
編成は2両、4両、6両、8両とバラエティに富んでおり、これらを組み合わせ、最大10両編成までのさまざまな運用に対応しています。旧2000系と新2000系の連結運転も可能で、実際に新宿線と拝島線では(ごくまれに国分寺線でも)、両者の混結を見ることもできます。
1970年代の西武は片側3扉の車両が主流でしたが、あえて4扉車を投入したのは、混雑度の高い新宿線の各駅停車の乗降時間短縮を図るため。池袋線系統は1980年代まで3扉車の導入が続きましたが、そちらも営団地下鉄(現:東京メトロ)有楽町線への乗り入れを前に、4扉車の導入に切り替わりました。
旧2000系は新宿線系統の路線(新宿線、拝島線、国分寺線など)を中心に運用される一方、新2000系は池袋線系統も含め、山口線と多摩川線以外のほぼ全線で広く使用されています。同じ形式ですが、新・旧で運用範囲は異なります。
西武は、2030年までにVVVFインバータ制御方式の車両に統一することを発表しています。界磁チョッパ制御の2000系は置き換えの対象となっており、現在は新旧の両グループとも、新型車両との世代交代による廃車が進行中。とくに旧2000系は、8両編成が2022年春に引退し、現在は6両編成と2両編成がわずかに残るのみとなっています。なお、旧2000系のトップナンバーである2001号車は、横瀬車両基地に保存されています。