京成最初のステンレス車 京成3500形
京成電鉄でもっとも車齢の高い、3500形。製造初年は1972年で、デビューから50年が経過した現在も現役という、関東大手私鉄では長寿の部類にあたります。
車体はステンレス製で、冷房装置を搭載。どちらも京成で初のことでした。最初は骨組みを普通鋼、外板(外から目に見える部分)をステンレスとする、いわゆる「セミステンレス車体」が採用されましたが、最後に製造された10両は、骨組みも含めた鋼体の多くをステンレスとする「オールステンレス車体」に変更されました。ちなみに、ステンレス車体の採用には、冷房搭載による重量増が関係していたともいわれています。
デビュー当初は、先頭部分が額縁スタイルで、貫通扉に列車種別をサボで表示していました。しかし、1996年に始まった車体更新の際、更新先頭部の額縁を消し、種別表示も字幕式に改められました。ただし、更新が全車両に及ぶことはなく、2001年を最後に打ち切られています。
ちなみに、車体更新前は先頭部の台車にモーターがなく、京急線への乗り入れが禁止されていました。これは、京急が「直通に使用する車両は、先頭の台車にモーターを搭載する形式に限る」という条件を乗り入れ各社に出しているため。3500形は更新時に先頭台車をモーターつきに変更したため、更新車は京急直通運用にも充当されました。
なお、4両編成の3540編成は、芝山鉄道にリースされています。2022年春には京成車では青色の帯が緑色に変わり、印象が変わりました。同編成は京成の4両編成と共通の運用が組まれており、芝山鉄道線への乗り入れ運用運用のほか、京成金町線や千葉線、千原線などを走ります。
未更新の車両は、2017年に引退しました。現在は更新車が6両編成と4両編成を組み、普通列車を中心に運用されています。過去には8両編成での運用もありましたが、現在は一時的な車両不足を補う場合や臨時列車の運用を除き、基本的に見られません。2023年には、4両単独で運用される編成(芝山鉄道の3540編成を含む)にワンマン対応化改造が行われました。
2022年、京成電鉄は3500形の後継車両と思われる新型車両の投入を発表しました。そのデビューとともに、3500形は順次姿を消すことになると推測されます。