姿、形を変えて半世紀 東武8000系
東武8000系は、1963年~1983年にわたって製造された、ロングセラーの通勤型車両です。製造数は712両に達し、その数の多さから「国鉄103系の私鉄バージョン」などとも呼ばれたとか。現存する最古参の8150編成は1969年製と、関東大手私鉄のなかではトップクラスの長寿を誇ります。
塗装はデビュー当時、ロイヤルベージュとオレンジ色のツートンカラーでしたが、1974年以降はセイジクリームの1色塗装に、そして1985年には現在の標準色であるジャスミンホワイトにブルーの帯へ変更されました。
1986年から車体修繕(いわゆるリニューアル)が始まりました。最初期の修繕車両は、外観に大きな変更はありませんでしたが、翌1987年からは先頭部分を6050系などに似たスタイルに変更し、外観の印象が大きく変わりました。以降、ヘッドライトの変更、行先表示器のLED化、バリアフリー設備の整備など、年を追うごとに修繕の内容は変化していきます。全車両の修繕には20年以上を要し、2008年に完了しました。なお、一部の車両は修繕を受けることなく廃車されています。
修繕が進む一方、2004年から廃車が始まり、現在は200両が残っています。野田線(アーバンパークライン)では現在も主力の座を譲らず、優等列車(急行、区間急行)にも頻繁に充当されています。野田線以外では、東上線(小川町~寄居間)、越生線、亀戸線、大師線、小泉線、桐生線などのワンマン線区でその姿を見ることができます。復刻塗装の編成も複数おり、見る者を飽きさせません。
なお、初期に修繕された8111編成は、正面スタイル変更前の姿を維持する唯一の車両です。2011年の定期運用離脱後は東武博物館の持ち物となり、イベント列車などで運用される編成となりました。