揉めに揉めた京葉線「快速」の問題
都市部ではコロナ禍から、地方線区ではそれ以前から見られる、列車の運転本数削減ですが、本改正では京葉線の変更内容が社会問題となり、一部の改正内容が変更される事態となりました。
京葉線のダイヤ改正内容は、快速列車の運転を日中時間帯のみとし、朝夕の運転は取りやめるというもの。新木場~蘇我間をノンストップで結んでいた「通勤快速」も廃止となります。これに対し、地元千葉県、特に京葉線の直通先である外房線・内房線の沿線住民や自治体が、「通勤時間が延びる」などとして猛反発。結果、JR東日本千葉支社は朝の上り快速2本を復活させるという、前例のない改正となりました。
改正前の時刻表を見ると、京葉線系統の快速は、平日では下りは朝ラッシュピークと深夜を除く時間帯、上りは朝から夕方にかけての運転。土休日では、早朝・深夜と上りの夜間を除く時間帯での運転となっています。これが、改正後は始発駅基準で10時台~15時台のみの運転(復活した朝の上り2本を除く)となるため、快速は朝・夕ラッシュピーク時に通勤で使える種別ではなくなります。改正前の快速と、同時刻の改正後の各駅停車を比較すると、東京~蘇我間では5~15分程度、所要時間が増加します。
復活した快速2本は、上総一ノ宮駅と君津駅をそれぞれ6時台に発車する列車。そのため「早すぎて使いにくい」「もっと遅い時間にしてほしい」といった声が沿線住民から挙がっていました。しかし、快速が復活したとはいえ、両列車とも外房線・内房線内は、当初発表の改正内容通り、各駅停車のままです。快速運転となるのは京葉線内のみで、12月の概要発表時点で既に決まりかけていたダイヤに、後からなんとか手を加えたということがうかがえます。加えて、改正前の通勤快速に近い時刻には、本改正で新設された特急「わかしお」4号(改正前の4号とは別物)があり、一番利用しやすい時間帯の復活は、既に困難だったと考えられます。
京葉線では、2022年3月のダイヤ改正で、平日日中の快速の運転本数が、毎時3本から毎時2本に削減されています。過去にも東京駅発着の武蔵野線直通列車が快速から各駅停車に変更されており、快速系列車は削減傾向でした。今回の改正も、これまでの延長線上として内容が検討されたと考えられますが、その結果、思わぬ反発を生んでしまいました。
とはいえ、鉄道会社の商品であるダイヤが、京葉線では利用者や自治体に完全に受け入れられていないことは事実。JR東日本千葉支社は、ダイヤの検討を続けるとの意向を示しており、今後てこ入れされることになるかもしれません。