車齢15年の車両を置き換えた新型車
南海電気鉄道の2大主要路線の1つ、南海高野線は、平坦区間の難波~橋本間と、山岳区間の橋本~極楽橋間に分けられます。そして、この山岳区間の一般列車で使用されている車両の1つが、2005年にデビューした2300系です。
それまでの橋本~極楽橋間の一般列車では、1990年にデビューした2000系が使用されていました。南海では、この区間での利用客が減少していたため、2両編成でのワンマン運転を検討していました。しかし、2000系には2両編成も在籍するものの、この編成を使用することができない事情がありました。
南海では、営業運転に就く編成について、一部の車両機器が故障した場合でもバックアップ機器で走行できることを原則としています。そのため、一部機器が故障した場合に自走できない設計(当時の鉄道業界では一般的)となっている2000系の2両編成を、単独で営業運転に使用することは想定していませんでした。
そのため、車齢が若い2000系を置き換える形で、制御装置などの二重系統化を図った2両編成の2300系4本を製造。高野線のワンマン運転開始に先立ち営業運転を始めました。
2300系は、車体設計は2000系に類似していますが、カラーリングは高野山金剛峯寺をイメージした朱色に。車内は転換クロスシートを主体とし、ロングシート主体の2000系よりも接客設備を向上させました。
当初は難波駅まで顔を出していた2300系ですが、現在の定期運用は橋本~極楽橋間のみ。快速急行などの難波駅へ直通する列車には、現在も2000系が使用されています。
余談ですが、2300系に置き換えられる形となった2000系は、難波~橋本間の一部運用も他形式に置き換えられたため、一時は半数近くの車両が運用を外れていました。これらの車両は、後に高野線から南海本線へと活躍の場を移し、南海本線系統の旧型車を置き換えています。