早すぎるロマンスカー「VSE」の引退
多くの私鉄でも、JRグループと同じ3月12日に、ダイヤ改正を実施します。
小田急電鉄では、このダイヤ改正に先立つ3月11日に、ロマンスカー50000形「VSE」の定期運転を終了します。
VSEのデビューは2005年。当時落ち込んでいたロマンスカーの観光需要のテコ入れを目的に企画され、1987年デビューの10000形「HiSE」以来となる展望席つきロマンスカーとして登場。デビュー時は「シートサービス」を提供するなど、ロマンスカーにおけるフラッグシップとして扱われていました。
一方、デビューから約17年が経過し、搭載機器は経年による老朽化が進んでいました。また、乗り心地向上を目的として採用した「車体傾斜装置」や「車高調整装置」について、部品の入手が困難となっていたともいいます。しかしながらVSEは、熱を加えて溶接する大規模更新が難しい「アルミ合金ダブルスキン」の車体となっており、機器更新や車体傾斜装置等の撤去といった構造変更が困難。そのため、VSEは早期の引退を余儀なくされました。
VSEは、3月11日に定期運転を終了した後も、2023年秋ごろまでの間、臨時ダイヤによるイベント列車での運行を継続する予定。ダイヤ改正後の3月26日には、団体臨時列車「新入生応援号」として運転されることも発表されています。しかしながら、かつてロマンスカーのイメージであった展望席つき車両は、ダイヤ改正後は70000形「GSE」2本のみとなってしまいます。