2022年も少しずつ引退 置き換え進む国鉄型車両
一昔前の面影を残す車両として、ファンから人気を集める国鉄型車両。ですが、経年による老朽化などを理由に、今年も置き換えられる車両が相次ぎました。
JR東日本では、485系を改造した「華」「リゾートやまどり」が引退しました。485系は、交流、直流の両方の電化方式に対応した特急型電車。かつては全国の特急列車で活躍していましたが、特急列車の定期運用は2016年に消滅し、2017年以降はジョイフルトレインなどの改造車両のみが残っていました。その最後の生き残りである2本も、今回ついに引退。1964年に485系の前身である481系が登場して以来、半世紀以上にわたった歴史に、幕を下ろしました。
JR東日本では他にも、3月のダイヤ改正で115系が引退。最後まで運用されていたのは新潟エリアでした。定期運用終了後も、車両基地内の撮影会でたびたび展示されていましたが、2022年内に全車両が廃車されています。
315系を導入したJR東海では、これによる211系の置き換えを進行中。特に、国鉄時代に製造された0番台は、4両編成2本のみのグループということもあり、315系デビューと入れ替わりで引退しています。このグループの消滅により、JR東海から国鉄時代の製造車両は姿を消しました。JR化後に製造された211系は現在も運用に就いていますが、こちらも315系によって順次置き換えられる予定です。
JR西日本では、奈良線で使用していた103系の運用を、3月のダイヤ改正にあわせて終了しました。事前の発表はなく、ひっそりとした引退となりました。奈良線からの撤退により、同社管内で活躍する103系は、加古川線、播但線、和田岬線の3路線のみに。製造当時の面影を強く残す編成は、和田岬線用の6両編成1本のみとなっています。
西九州新幹線開業とともに、在来線でも大きなテコ入れを実施したJR九州は、415系鋼製車の営業運転を終了しました。白地に青帯という、かつてはJR東日本の常磐線でも見られたスタイルですが、ワンマン運転の拡大などによって任を解かれています。415系は、今回引退した鋼製車の他に、ステンレス車体の1500番台も存在。こちらは現在も運用が続いていますが、9月23日のダイヤ改正以前よりは運用範囲が縮小。また、かつてJR東日本からJR九州に譲渡された車両は、1500番台も含めて全て営業運転を終了しています。
JR貨物でも、3月の運用をもってEF67形が引退しました。山陽本線の瀬野~八本松間の連続勾配区間、通称「セノハチ」で、貨物列車を後押しするために改造され登場した機関車で、1982年のデビューから40年間、もっぱら広島エリアで活躍を続けていた車両でした。
このほか、千葉県を走るいすみ鉄道では、11月にキハ28形の定期運転を終了しました。この車両は、国鉄急行型気動車の代表形式であるキハ58系グループに属するもの。2012年に、観光列車として運行していた急行列車の車両増強策として、JR西日本より譲受した車両でした。
国内最後の現役キハ58系グループとして活躍していた同車両ですが、資金面や部品確保が課題となり、運行継続が断念されました。なお、今後も臨時列車での運転は継続され、完全引退は2023年2月の予定です。
車両の引退が目立つ一方で、明るい話題もありました。JR西日本が伯備線などで運転している特急「やくも」では、使用車両である381系1本が国鉄特急色に復元され、3月に運転を開始しました。国鉄特急色自体、2018年にJR東日本の車両が廃車されたことで一旦消滅していたため、約4年ぶりの復活となっています。さらに12月には、2023年に「スーパーやくも」色の復刻も発表され、最後の国鉄型特急車両による定期特急列車が、にわかに注目を集めています。
しかし、その「やくも」では、2024年春に新型車両273系が導入されることが、2月に発表されています。同社では今後、岡山地区で113系や115系を置き換える227系の導入も予定。国鉄型車両の宝庫だった岡山エリアも、まもなくJR車両との世代交代の波が押し寄せることになります。