運転業務の省力化へ 自動運転拡大に向けた取り組み続々
ここ数年は、自動運転がにわかに注目されています。これは、自動車やバスの自動運転はもちろん、鉄道業界でも。これまでも、ゆりかもめを始めとする新交通システムや、東京メトロ副都心線のような一部路線で、自動運転が導入されていました。そして2022年では、その導入の動きがさらに拡大しつつあります。
JR東日本では10月、山手線の営業列車で、自動列車運転装置(ATO)の試験を開始しました。同社線での自動運転による営業運転は、これが始めてのことです。
同社では、2018年に発表したグループ経営ビジョン「変革2027」において、将来の「ドライバレス」運転の実現を掲げています。山手線での試験も、この取り組みの一環。2018年から営業時間外に試験が進められてきましたが、今年に入り、営業時間帯での運転が可能となりました。
同社はこのほか、ステレオカメラを活用したリアルタイムな自動障害物検知システムの導入に向けた試験の実施を2月に発表。自動運転システムそのものと、自動運転時の安全確保のためのシステムの両面で、ドライバレス運転実現に向けた取り組みを進めています。運転士が乗務しての自動運転は、2025年~2030年頃を予定。2030年代には、運転士ではない添乗員が乗務する形のドライバレス運転を実用化する考えです。
自動運転の話題は他にも。JR九州では、2020年12月に香椎線の一部区間で開始した自動運転の実証実験を、2022年3月に全線へ拡大。あわせて機能を拡大し、天候に応じた走行モードの自動変更機能や、走行状態に応じた予測制御による経済運転機能を、日本では初めて導入しました。
このほか、東武鉄道が自動運転用となる前方障害物検知システムの試験を開始。南海電気鉄道やJR東海でも、自動運転導入に向けた動きを発表しました。自動運転システムの開発は数年がかりで進められるものではありますが、各社の取り組みで進展が見られた2022年は、鉄道業界における自動運転の転換点の年となりそうです。