東武鉄道のC11形123号機、約半世紀の眠りから復活
「SL大樹」などのSL列車を運行する東武鉄道では、新たな蒸気機関車として、C11形123号機の営業運転を7月に開始しました。
123号機はもともと、滋賀県の江若鉄道が導入した車両。現役当時は「C111」と名乗っていました。1957年には北海道の雄別炭礦鉄道へ活躍の場を移し、さらに1970年には釧路開発埠頭へ転籍。1975年に廃車され、以降は道内で静態保存されていました。
長らく保存されてきたこの機関車ですが、蒸気機関車の増備を検討していた東武鉄道が、2018年に日本鉄道保存協会から同機を譲り受けることを発表(所有は東武博物館)。同年11月に南栗橋車両管区内の工場へ搬入され、以降4年弱にわたり、動態復元作業が進められました。
同社で新たに付与された123号機という番号は、もちろん国鉄時代に存在した123号機のものとは別物。この番号は、東武鉄道創立123周年を迎える2020年がSL事業の転換期を迎えることと、1→2→3(ホップ、ステップ、ジャンプ)と、将来に向かって更なる飛躍を車両番号で表現すべく命名されました。
新型コロナウイルスの影響で作業は1年ほど遅延してしまいましたが、2021年12月に火入れ式が開催され、2022年4月には試運転を実施。6月には南栗橋車両管区内でのイベントで、一般客への初お披露目となりました。そして7月、いよいよ約半世紀ぶりに本線で営業列車をけん引し、復活となりました。
東武鉄道では、123号機の復元整備と並行して、真岡鐵道の「SLもおか」号で活躍していた325号機を導入。既存の207号機とあわせ、3機体勢を実現しています。東武のように、蒸気機関車を多数保有して営業運転している事業者は、他にもJR東日本や大井川鐵道、JR西日本が挙げられます。しかし、同一形式を3両も保有し運行しているのは、2022年現在は東武だけです。